アフターコロナの世界(マズローの欲求5段階説、ムーンショット目標(内閣府)より考察)

写真:米国立アレルギー・感染症研究所

 

 新型コロナウイルスによるパンデミックを契機に、世の中の在り方が変わろうとしています。

 「アフターコロナ」「withコロナ」といった言葉もよく目にするようになりました。

 

 いろいろと不安は尽きませんが、

 私たちはこの変化を受け入れ、前に向かって進んでいくしかありません。


 今回は「人間の欲求の変化」という観点から考察してみたいと思います。


■マズローの欲求5段階説からの考察

出典:https://ferret-plus.com/5369

 まず、上の図表をご覧ください。

 これは「マズローの欲求5段階説」というもので、アメリカの心理学者 アブラハム・ハロルド・マズローが主張したものです。人間の欲求、つまりモチベーションの基となるものをわかりやすく整理してくれています。



1 生理的欲求

 生きていくために必要な「衣・食・住」の分野の欲求です。

 「食欲」「排泄欲」「睡眠欲」など、これらが満たされなければ生命の維持が不可能な動物的、本能的欲求とも言えるのかもしれません。


2 安全欲求

 「安心・安全」な暮らしの分野の欲求です。 

「今後使えるお金が確保できるのか」「自宅の食料が無くならないか」「トイレットペーパーが無くならないか」「犯罪に巻き込まれないか」など、少なくとも今、皆さんが抱かれているような不安の解消が、この第2段階目の欲求に当てはまります。


 アナログの世界において「非接触」によって感染症のリスクを抑えながら、デジタル技術の活用によって、物理的に距離の離れた人とのコミュニケーションはさらに円滑になっていくことが予想されます。

 アフターコロナ時代になると、非接触技術は著しく進展し、ライフスタイルも大きく変わります。ただし、このまま人間が「非接触」のままでいられるのでしょうか。さらに人と人のコミュニケーションが重視されるカウンセリングや、何らかの面談サービスなど生身のコミュニケーションにも価値が見出されるかもしれません。


 上記のクックパッドマートの取り組みは、小型飲食店近傍に商品の集荷ステーションを設置し、そこで受け渡しするサービスです。

 消費者はおいしい食事を手軽に利用することができますし、飲食店の経営者の生活を支えることにもつながります。まさに第2段階の欲求を互いに満たし合えるサービスです。


 おそらくこのサービスは、アフターコロナにおいても存続し続けるサービスとなるでしょう。

 近所で評判のお店の料理を家で食べられるのは、子育て世代にとっては物凄く嬉しいことですよね。子供の面倒を見つつ、おいしい料理を食べながら、オンラインで遠く離れた親戚や友人と飲んで語らうといったスタイルが今後広がっていくのではないでしょうか。アナログ時代よりもむしろ人と人との心の距離は縮まっていくのかもしれません。



 このように元々ニーズとしては存在してはいたが、初期投資が必要で敢えて導入するまでない等の理由によって、飲食店側が導入に二の足を踏んでいたような新たなサービスが、爆発的に普及するかもしれません。

 これまで、人類の危機(自然発生的な物もあれば人為的な物もありますが)によって多くのサービスや技術が発展してきました。なかなか辛い時期ではありますが、時代の転換を体感できる貴重な時代に生きることが出来るんだと「ポジティブ」に捉えていくことも重要なのかもしれません。



3 社会的欲求

 友人や家庭、会社や組織から受け入れられたいという分野の欲求です。

 「愛情と所属の欲求」あるいは「帰属の欲求」とも表現されます。在宅ワークが続くと、この欲求が満たされず孤独感や社会的不安を感じやすくなり、時には鬱状態に陥るケースもあります。このような事態を避けるために、リモートワークを導入するコンサルの次には、リモートワークを活用して組織をどのように良い方向に導いていくか、社員の満足度を上げていくかといったコンサルも増えてくるでしょう。

  

 また、リモートワークによって、各個人が会社という組織と少し距離を置くようになりました。今まで属していたコミュニティへの依存度が下がったために、他の何らかのコミュニティに所属したいという欲求が湧いてくる可能性があります。WEBを用いたセミナー(ウェビナー)やそれをきっかけとしたオンラインサロンへの所属などが広がっていくかもしれません。


 これまで所属してきた組織を少し客観的に見る事ができるようにもなりました。これによって、現在の職場に対する様々な意見が浮かぶようになってきたという話もよく聞きます。こう言った変化はプラスにもマイナスにも活用できる変化ですので、是非とも良い方向に持っていくべきだと思います。会社に新たなサービスアイデアを提案してみても良いでしょう。


 話は若干飛びますが、すでに家庭に居場所がないようなお父さんが在宅ワークによって家庭内のバランスも崩れ、いわゆる「コロナ離婚」等の問題も発生しています。コロナによる環境の変化によって生じる二次的な社会課題への対策も重要となるでしょう。


4 承認欲求

 他者から認められたいという分野の欲求です。

 「出世欲」もこの欲求の1つに当てはまります。他人からどうみられるかと言った部分は、ある組織に帰属していることが前提となります。SNSでの「いいね」はまさにこの欲求を利用しています。


 この辺りになってくると、「Withコロナ」よりも「アフターコロナ」までなかなか出てこない欲求なのかもしれません。SNSでの「いいね」を求めた書き込みは以前より増えましたか減りましたか?

 SNSに向き合う時間が必然的に高まっているので一概には言えませんが、あくまでも人間としての安定した生活を送り、何らかの組織やコミュニティでの活動が改めて盛んになってくると、これらの承認欲求が改めて湧いてくるのかもしれません。

 「アフターコロナ」においてはデジタル空間でのコミュニケーションが活発化した状態になっている可能性が高く、他者からの承認欲求はより増している可能性があります。単純にSNS人口が増え、「いいね」を求める人もする人も増えている状態となります。より多くの人の共感を呼ぶような広告手法や商品が売れる時代となっていくのかもしれません。またそう言ったインフルエンサーが多く誕生していく自己実現の時代が到来するのかもしれません。

 そう思うとワクワクしませんか?




5 自己実現欲求

 「あるべき自分」になりたいという分野の欲求です。

  マズローは最初の4欲求を「欠乏欲求」、最後の1つを「存在欲求」とまとめており、自己実現を達成できた人は数少ないとされています。 

 いろんなものが満たされると、やはり「自分が生きてきた証を残したい」「自分にしかできないことをやりたい」「自分の出したい」と己に向けた欲求が出てきます。


 「Withコロナ」時代とも言える現在、繰り返しになりますが、組織から少し距離をおいて自分自身と向き合う時間も増えました。そうした中、来るべき「アフターコロナ」時代に備え、もう一度自分自身が輝く方法を考えてみることもお勧めします。これまで述べてきた低次の欲求が満たされない中、自身の自己実現等まで意識が及びにくくなっていますが、ここはアフターコロナ時代を見据え力を貯める時期です。


 アフターコロナ時代には、デジテル技術が進展し距離的、物理的障壁がなくなり、自らの思いを具現化しやすい状況になっているでしょう。その時に何をすれば自己実現欲求が満たせるのか、そのために今どんなスキルを磨いておくべきなのか考えておく必要があります。



 (参考)自己分析ツールを無料で配布していますので、ご活用ください。


■ ムーンショット目標(内閣府)からの考察

出典:ムーンショット型研究開発制度(内閣府)https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/index.html

 

 この内閣府が描いた計画(国際的な枠組みで提示されたものですが)が実現するものと仮定すると、「Withコロナ」時代(2−3年?)にデジタル化の進展、バーチャル空間でのコミュニケーションが確実に進展していきます。


「アフターコロナ」時代の2026(仮に5年後と設定)には、自らの思いを具現化し、コミュニティを形成していった人材が輝くような世界になってくる。この頃には、ある程度新たな世界の秩序といったものが見え始めるのかもしれません。


 そして、その4年後の2030年にはこんな状況(ムーンショット目標から改めて抜粋)


• 一定のルールの下で一緒に行動して 90%以上の人が違和感を持たない AI ロボットを開発する。

• 特定の問題に対して自動的に科学的原理・解法の発見を目指す AI ロボットを開発する。 

• 特定の状況において人の監督の下で自律的に動作する AI ロボットを開発する。


  さらに20年後の2050年にはこんな状況(ムーンショット目標から改めて抜粋)

 • 人が違和感を持たない、人と同等以上な身体能力をもち、人生に寄り添って一緒に成長する AI ロボットを開発する。

 • 自然科学の領域において、自ら思考・行動し、自動的に科学的原理・解法の発見を目指す AI ロボットシステムを開発する。 

 • 人が活動することが難しい環境で、自律的に判断し、自ら活動し成長する AI ロボットを開発する。



■終わりに

 あくまでも仮定ですが、上記の記載内容からすると、数十年後何らかの影響により地球上に人類が住めないような環境変化(例えば地磁気の反転や急激な海面上昇など)が到来したとしても、その環境下で物理的に存続できるようなAIロボットが我々のアバターとして活動する状況になっているのかもしれません。

 その前に偶然か必然かパンデミックによって、デジタル技術の進展によるグローカルなコミュニケーションの進展と自分自身の内省、大きな価値観のシフトが進んでいきます。世界の秩序も変わってしまっているのかもしれません。

 そんな中でも、結局自分が変えられることは自分に見えている景色の範囲内でしかないわけで、より自分自身を磨いて、行動に移していくしかありません。(その行動範囲がこのネットというもはやバーチャル空間なわけですが)今後は障壁がなくなる分、多くの組織や人とコミュニケーションを行うことが重要な時代となっていくのかもしれません。

 デジタル化やAIロボット化が進んだ世界には、物理的な障壁は一切なく、マズローの言う第3段階の「社会的欲求」以降の行為の欲求にスポットが当たる時代となってきます。


 少々オカルトチックになってしまいましたが、そのオカルトとリアルが徐々に融合し始めている時代なのかもしれません。つい先日米国防総省はUFOの存在を認め、自衛隊の対応について河野大臣が発言するなど、徐々に我々一般人に情報が開示され始めています。


「Withコロナ時代」の現在から自己実現、自身のありたい姿をイメージし、いかに行動に移していくかが重要であると捉えることができます。


 ポジティブに語れば

 「なんでも自分の思いが叶う時代がもうすぐくるんだ」

 「今は目標を定め、力を溜めるべき時期なんだ」


 と捉え「Withコロナ」時代を前向きに生きていくことこそが私たちにとって重要なのかもしれません。お互いに頑張りましょう。


以上です。

キャリアデザインラボ管理人

0コメント

  • 1000 / 1000

キャリアデザインラボ

転職や自己分析に関するキャリア理論・話題など天職探しのヒントが盛りだくさん。 管理人自身が国家資格であるキャリアコンサルタントとして本サイトを監修しています。